医療法人慈恵会慈恵曽根病院

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内視鏡検査でわかること

食道

逆流性食道炎

逆流性食道炎

何らかの胸焼けで胃から食道へ逆流することによって、胸焼けや呑酸(※注①)を呈する疾患。大部分の症例は制酸剤で症状コントロールが可能。

※注① 呑酸(どんさん)…口の中に広がる酸っぱいもの

食道癌

食道粘膜に発生する悪性腫瘍。飲酒や喫煙が危険因子。ごく早期のものであれば内視鏡的切除可能。それ以外は、外科的切除、抗がん剤を用いた化学療法、放射線療法などを組み合わせて行う。

食道静脈瘤

肝硬変などで門脈圧が上昇することにより、食道粘膜下層の静脈が瘤状に太くなる疾患。破裂すると吐血や下血を呈し、緊急治療が必要となります。

胃・十二指腸

食道癌

急性胃十二指腸炎

飲食物や薬剤、ストレス、感染症などにより引き起こされる急性の炎症。上腹部の自覚症状を呈するが、原因の除去により軽快します。

胃十二指腸潰瘍

胃十二指腸炎が高度となり、更に胃酸の影響を受けて、粘膜が深くえぐり取られた状態。心窩部痛(※注②)を呈し、潰瘍部から出血すると吐血や下血がみられます。また、穿孔(※注③)を起こして緊急手術が必要になることもあります。

※注② 心窩部痛(しんかぶつう)…みぞおち付近の痛み
※注③ 穿孔(せんこう)…穴があく

慢性胃炎

ヘリコバクターピロリ菌の長期感染により、胃粘膜が萎縮し、種々の程度で上腹部症状を呈します。ピロリ菌は胃十二指腸潰瘍の再発や胃がんとの関連も指摘されています。

胃腺腫

胃の良性潰瘍。大きなものでは内視鏡的な切除が必要となることもあります。

胃癌

胃の悪性腫瘍。日本人の悪性腫瘍のうち、羅患数は大腸がんに次ぐ第2位、死亡数は肺癌、大腸がんに次ぐ第3位。粘膜内にとどまり、移転がないものは内視鏡的切除が可能。内視鏡的切除が困難な病変や進行がんに対しては、外科的切除抗がん剤も用いた化学療法、放射線療法などをく合わせて行います。

胃ポリープ

上記④、⑤以外の粘膜から盛り上がった病変。代表的なものに胃底腺ポリープと過形成性ポリープがあります。基本的には治療の必要はありませんが、出血するものやがんの合併が疑われるものなどは切除の対象となります。

大腸とは

大腸は1.5~2.0mほどの長さの臓器で、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、肛門管の7つの領域に分けられます。(図3)
大腸の壁は内腔側から順に、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層(しょうまくかそう)、漿膜(しょうまく)の5つの層からなっています。(図4)
大腸は、小腸から移送された液状の便から水分、脂肪酸の一部、ナトリウムなどを吸収し、固形の便にして肛門に運びます。

大腸
図3
大腸の壁
図4

大腸がんの病理

大腸がんは粘膜から発生します。多くは良性のポリープである腺腫の一部にがんが発生し増大していきます。一方、粘膜から腺腫を経由せずに直接がんが発生する場合もあります。がんは増殖を続け、粘膜下層、更に筋層へと広がっていきます。粘膜下層までにとどまるものが早期がん、筋層以深までひろがったものが進行がんです。大腸がんの約96%は腺がんで分化度の高いがん(比較的おとなしい脂質のがん)が多いという特徴があります。大腸がんのできる部位はS状結腸、直腸の順に多く約7割をしめます。肛門より近い場所に多く発生しています。

大腸がんの症状

大腸がんの症状

大腸がんの症状は、がんがある部位やその進行度によって異なり、早期がんでは一般的に自覚症状はありません。大腸がんが進行した際の症状としては、血便や便秘、下痢、便が細い、お腹が張るなどがあります。

大腸がんの検査方法

便潜血検査

便潜血僅差

便の中に血液の反応があるかどうかを調べ、出血の有無を確かめる検査です。目に見えない微量の出血での感知できます。便潜血検査は、2日間検便を行い便の状態を確認する「便潜血2日法」で検査が行われるのが一般的です。大腸がんの集団検診(2~3日法)の成績では進行癌の約90%、早期癌の約50%が検出できるという報告もあります。

注腸X線検査

注腸X線検査

肛門から造影剤(バリウム)と空気を注入し、X線写真を撮影する方法です。検査に先だって下剤を用いて前処理を行います。次にバリウムを大腸粘膜に流していくことによって、X線透視下にバリウムと空気とコントラストで粘膜病変を描出していく検査です。大腸がんの診断については、腫瘍の位置、深達度、多臓器への浸潤の可能性などを予測できます。内視鏡検査と比較して、糞便と病変の鑑別が難しく、何らかの異常があれば内視鏡検査が必要となります。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査

内視鏡を肛門から挿入し、全大腸を内側から観察します。通常、検査の前日に下剤を服用し、当日の朝から検査施設で腸管洗浄液1,000mlと水500ml飲用します。その後排便を行い、便塊が確認できなくなったら検査可能となります。肛門から約10mm 経の内視鏡を挿入します。大腸の屈曲が多くなければ約70~80cmで大腸全体が観察できます。基本的にお腹の痛みはほとんどありませんが、手術後で腸管が癒着していたり、屈曲が強いと、主に下腹部に突っ張った痛みを感じることがあります。

大腸がんの治療

大腸がんの治療法は、内視鏡治療、外科治療、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療などがあります。大腸がんの治療は、がんの進行度(病期)に応じて治療が選択されます。大腸がんの原則は、がんを残すことなく切除することです。内視鏡的治療は、大腸がんが粘膜に留まって場合や粘膜下層へのがんの広がりが軽度の場合は治療が可能です。

①ポリペクトミー

ポリペクトミー

鉗子口(かんしこう)より挿入したスネアと呼ばれるループ状のワイヤーを主要に掛け、高周波電流を通電して腫瘍を摘除する方法で、通常は有茎性(ゆうけいせい)、亜有茎性(あゆうけいせい)の腫瘍に対して行われます。当院で治療が可能です。

②内視鏡的粘膜切除(EMR)

内視鏡的粘膜切除(EMR)

小さい表面型の腫瘍に対し、腫瘍の下面に生理食塩水などを注入し病変を膨隆させた後、スネアを用いて摘除する方法です。当院で治療可能です。

③内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

大きな表面型の腫瘍に対して、腫瘍の下面に生理食塩水などを注入し病変を膨隆させた後、電気メスを用いて摘除する方法です。

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